あなたは何のためにケトン体を増やしたいのですか?
ひと口に「ケトン体を増やしたい」といっても、その目的によってやり方は少し異なります。「とにかく血中ケトン体を増やしたい」のか、それとも「ケトン体が作られるようにして自分の体脂肪をどんどん分解したい」のか。
血中ケトン体濃度を上げたいのであれば、中鎖脂肪酸(すみやかに消化吸収されて体脂肪になりにくく、一部が肝臓でケトン体に変換される)100%のMCTオイルや中鎖脂肪酸を多く含むココナッツオイルの摂取がおすすめです。
しかしダイエットなど「自分の体脂肪をどんどん分解して消費してしまいたい」という場合は少々事情が違ってきます。
どんなに血中ケトン体が増えても「自分の体脂肪があまり使われていない」としたら、どうでしょう?これは何とかしなければ。
尿や血液、呼気からケトン体が検出されるということはケトン体は確実に作られています。上の表をよく見てください。
ケトン体の材料は中性脂肪が分解された脂肪酸と、一部のアミノ酸です。アミノ酸を使わず、自分の体脂肪「だけ」を材料にケトン体が作られればいいと思ってしまいますが💦
体脂肪をどんどん減らすためには「自分の体脂肪」からケトン体を作ってどんどん使ってしまえばいいということになります。

適度に運動してエネルギーを使うことも大事ですね。

多くの野生動物は走ったり歩いたりするもんね。
中鎖脂肪酸と糖質を一緒に摂取していませんか?
MCTオイルやココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸は、すみやかに消化吸収され、体脂肪になりにくく、一部が肝臓でケトン体に変換されます。
このことを利用して「あまり厳密に断糖まではできないけれど、病気の治療のためにとにかく血中ケトン体を増やさなければいけない」という方にも好まれます。※糖質制限できないと効果はかなり限定的になります💦
ただし、いくら中鎖脂肪酸がすみやかにエネルギーとなり一部がケトン体になるといっても、それが最大限にパワーを発揮するためには糖質制限をしている状態でなければいけません。
中鎖脂肪酸からケトン体が出来ても、同時にしっかり糖質を摂取していれば体は糖質をエネルギーとして使うのでケトン体はあまり使われることがないかもしれません。
糖質を食べるとインスリンが大量に分泌されますが、このとき、消費しきれずに余った分の糖質も脂質もどちらも体脂肪になります。インスリンは糖質を脂肪に変える役割を持っています。
肉食動物は肉をたくさん食べても脂質は必要な分だけ吸収して、それ以外は便から体外に排出される仕組みが備わっています。
ライオンやトラは肉をたくさん食べても動脈硬化などにならないのは、この仕組みが備わっているからです。ヒトも脂質単体で食べた場合、ある一定の量を超えると小腸からの吸収はストップします。
しかし脂質と大量の糖質を同時摂取すると追加インスリンの作用で脂質のリミッター機能がうまく機能せず、摂取した脂質はほとんど吸収されてしまうのだそうです。
特に軽度の2型糖尿病患者や糖尿病予備軍の方はインスリンが効き辛い状態になっていて普通の方よりもむしろインスリンを多く分泌していたり、ある種類のアミノ酸の摂取によってインスリンが多く分泌されやすいです。
こういう方が甘いタレをかけた肉を山ほど食べていたら「糖質制限しているつもりなのに思ったほどケトン体が作られていない」とか「ケトン体は作られているんだけど、その材料は食事から摂取したアブラで賄ってしまっていて自分の体脂肪はあまり使っていない」ということもあるわけです。
「ケトン体が出ているのにやせない」という方はまずうっかり糖質を多めに摂取していないかどうかを振り返ってみてください。
かなり頑張って糖質制限しているのにやせないという方は、タンパク質と脂質を摂取するタイミングをズラすといいです。3食はタンパク質と糖質の少ない野菜中心にして、おやつはバターコーヒーとかね。
これならアミノ酸摂取でインスリンが分泌されて同時に摂取した脂質が体脂肪になったり必要以上にすべて吸収されるのを防ぐことができます。
「そうか脂質も良くないんだ、じゃあ脂質も制限しよう」と思いがちですが、こうなると極端なエネルギー不足になるのでかえって痩せにくくなったりトラブルが起こりやすくなります。
バターや生クリームなどの乳製品の脂肪で太りやすいタイプの方もいらっしゃるそうです。その場合は間食にMCTオイルやココナッツオイルをうまく活用してみてください。
空腹時に糖質やタンパク質を食べずに中鎖脂肪酸だけを単独摂取するのであれば、太ることはまずないと思います。ただしあまりに大量に摂取すると下痢をすることがあるのでご注意ください💦
ケトン体がスムーズに作られるようになったら自分の体脂肪を使う
今まで糖質エネルギーだけに依存するような生活を送ってきた方は、いきなり糖質制限を始めると体がスムーズに脂質を使えずに低血糖になることがあるそうです。
管理栄養士の麻生れいみ先生によると、長年糖質をたっぷり摂取していた人の「ケトン体回路」はサビついた状態になっているそうです。
この状態でMCTオイルや中鎖脂肪酸を積極的に摂取して「これまで出番がなくサビついていたケトン体回路」を回してあげることで、体脂肪がエネルギーとして使える状態になります。
いったんケトン体回路がスムーズに回りだしたら、あとは外部から摂取した脂質ではなく自分の体脂肪を燃やしていくことが大切ですね。
これは「糖質だけではなく脂質も極限まで制限しましょう」ということではありません。体内で合成できない必須脂肪酸は必ず摂取しなければいけませんし、摂取エネルギーが少なすぎると不調の原因になります。
特に糖尿病患者さんや糖尿病予備軍で糖質制限しても痩せにくい方などは、きっちり糖質制限してタンパク質と脂質の摂取タイミングをずらします。
糖質やタンパク質によってインスリンが大量に分泌されているタイミングで脂質も大量に摂取してしまうと、必要以上に脂質が吸収されてしまい、余ってしまうからです。
ライオンや野生の猫などはそもそも糖質を摂取せず糖尿病にもならないので、このようなことを考える必要もないのですね。

ただケトン体を増やせばいいってわけじゃないんですね。

体脂肪を減らすのが目的なら自分の体脂肪を使わないとね!