ケトン体が糖尿病患者の心臓や腎臓などの臓器を保護する!

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ケトン体が脳や心臓や腎臓を保護するってホント?

食事からの糖質摂取が不足しているときや何らかの理由で体が血糖をエネルギーとして利用できない時、体は中性脂肪が分解された脂肪酸や一部のアミノ酸から「ケトン体」を作ります。

このケトン体を「糖質が足りない時に臨時のエネルギーになるだけのモノだ」と考えている方は未だに多いようですが、じつはそれだけではないことが分かってきました。

ケトン体のうちβ-ヒドロキシ酪酸には、エネルギー源としての作用以外に酸化反応や炎症反応を抑制する作用があり、心臓や脳、腎臓など様々な臓器に対して保護作用があることが分かってきました。

日本では2014年から使用されている糖尿病薬のSGLT2阻害薬(余分なブドウ糖を尿の中に捨ててしまう薬)には臓器保護効果があることが報告されています。

 

ケトン体は臓器を保護すると語る女性

 

その理由として「SGLT2阻害薬によって血中ケトン体が増加するからではないか」という仮説があるのです。

人間の臓器や細胞は、ごく一部の例外を除いてブドウ糖と脂肪酸をエネルギー源として自由に使うことができます。

しかし2型糖尿病患者では「インスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)」のため、ブドウ糖よりも脂肪酸をエネルギー源として多用するようになるのだそうです。

このことが「ケトン体による臓器保護効果」にどうつながるのか、今回はこの話をさせていただこうと思います。

 

なごみ
なごみ

2型糖尿病ではブドウ糖をエネルギー源として使いにくくなっているのですね。

よっしー
よっしー

そのようね。私も2型糖尿病なのでこれは気になるわ。

ケトン体は非常に効率の良いエネルギー!

みなさんはATP(アデノシン三リン酸)について聞いたことがあるでしょうか。非常にざっくり言うと、これは体内で使えるエネルギー通貨のようなものです。

ヒトの体内をゲームセンターだと思ってください。ATPというのは、そのゲームセンター内でゲームをプレイするために使うコインのようなものです。

コインを入れればゲームで遊べたり、自動販売機からジュースが出てきたりします。ATPをたくさん持っていれば楽しく遊べますが、ATPがなければ何もできません💦

筋肉を動かしたり、糖新生をしたり、その他いろいろな物質の合成や代謝など、体内でありとあらゆる重要なことにATPが必要になります。

 



 

正確に言うとATPには「リン酸」というものが3つくっついており、そのうち1つが切り離されるときにエネルギーが放出されます。

さて、このATPを手に入れるためにはどうしたらいいのでしょうか?まずは非常にざっくりした図ですが、下をご覧ください。

下の図ではATPについては省略していますが、ブドウ糖をただ分解してエネルギーを取り出す(嫌気性解糖)とき、その途中でATPを2つ使って最終的に4つのATPができます。つまり4-2でたったの2つのATPしか得られません。

ブドウ糖がミトコンドリア(細胞の中にあるエネルギー発電所のようなもの)内で代謝されるとき(好気性解糖)、38-2=36個のATPができます。

 

3つのエネルギー回路

 

そして脂肪酸がミトコンドリアでケトン体の材料となる物質になるとき、脂肪酸の種類によりますが最高で129個のATPが得られます。

全力でダッシュするときや高強度の筋トレをするときなどは、主に嫌気性解糖によってそのエネルギーを得ているそうです。素早いけれど効率が良いとは言えない方法です💦

糖尿病患者の臓器や細胞はインスリン抵抗性によりブドウ糖を利用しにくくなっているので、脂肪酸がケトン体になる経路で効率的にATPが作り出されるのは非常に助けになるのですね。

だから最近では「病的な糖尿病性ケトアシドーシスは危険だけど、糖尿病薬のSGLT2阻害剤でケトン体が増えるのは糖尿病合併症の予防にも良いんじゃないか?」と考える医師も多くなり…んんん?

 

ケトン体を増やすなら糖尿病薬よりも糖質制限で良いのでは?

ATPは体内のあらゆる代謝に必要で、これが足りないと体調不良や病気になる心配があります。それでは…と糖質ばかりせっせと食べても、ミトコンドリアで効率よくエネルギーを生み出すためには各種ビタミンやミネラル(特に鉄)が欠かせません

そして脂肪酸からはより効率よくATPを作り出すことができます。これを利用しないテはありません。脂肪酸のうち長鎖脂肪酸がミトコンドリアに入るためには「Lーカルニチン」が必要なので、ラム肉や牛肉を意識して食べると良いでしょう。

 

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「糖尿病薬のSGLT2阻害薬にはケトン体を増やすことにより臓器を保護する効果があるらしい」と言われるようになったのは興味深いですが、残念なことに薬には必ず副作用もあります。

ケトン体を増やすことが臓器の保護になるなら、薬を飲まなくても糖質制限を行うことでそれと同等以上の効果が得られるのではないでしょうか。

「SGLT2阻害薬はケトン体を増やすから臓器保護効果がある」「糖質制限はケトン体が増えるから危険だ」という主張は矛盾していますよね。あなたはどう考えますか?

 

なごみ
なごみ

ケトン体が危険なものなら、SGLT2阻害薬の臓器保護効果をどう説明したらよいかわからなくなってしまうのですね。

よっしー
よっしー

まだ仮説段階だけど、これからもっといろいろなことが分かってくるんじゃないかしら。楽しみだわ。