ケトン体の【基準値】を大幅に超えるのは危険じゃないの!?

ケトン体が基準値を大幅に上回ると危険か
スポンサーリンク

「基準値」と「正常値」は違う?

血液検査を受けるといろいろな項目がありますけど、1つ2つ「基準値」からはみ出した結果が出ると「どこか悪いのではないか?」と気になったりしますよね?

でも基準値って「病気ではない人の95%がその範囲内に入る上限と下限の数値」ってだけなんです。基準値を外れたからと言って即、病気ということじゃないんですよ。

通常、血中ケトン体は総ケトン体が130μmol/L以下が基準値、尿にはケトン体が検出されないのが正常とされています。

 

 

ケトン体が異常に増加する原因としてグルカゴノーマ(グルカゴンを分泌するすい臓の腫瘍)、 褐色細胞腫(カテコールアミンを分泌する副腎の腫瘍)、糖尿病性ケトアシドーシス(インスリンが働かないことにより代謝がおかしくなった状態)などが挙げられています。

病気が原因でケトン体が増加することがあるからこそ医師は異常に高い数値を見ると慌てるのでしょうけど、ちょっと落ち着いて考えてみましょう。

断食や糖質制限でケトン体が増加するのは「病的なケトーシス」ではなく「生理的なケトーシス」で問題はないと考えられます。逆に言うと、たっぷり糖質を食べているのにケトーシスになるのは良くないかもしれないということです。

 

にゃご
にゃご

「なぜそうなっているのか」が大事なんだニャー!

よっしー
よっしー

申告しないとお医者さんは分からないもんね。慌てて当然よ!

みんなが正常?それとも私が正常?

もし地球人が宇宙のどこかの星に行ったら「俺たちは腕が6本なのにこいつは2本しかないから異常だ!」と思われるかもしれません。

他の多くの人と違うからといって、それが「異常」「病気」を意味するかどうかは分かりません。ほとんどの人は糖質制限や断食をしないのでケトン体が出ないだけではありませんか?

ほとんどの人は糖質をたっぷり食べるのでケトン体が増える必要がない…これは現代の食生活がこうなっているからそうなっているだけで、たとえば旧石器時代のご先祖様はどうだったか分かりませんよね。

血糖値は健康な方では非常に狭い範囲内に保たれています。それは、血糖値が極端に高い状態も低い状態も非常に危険なので常に一定値をキープしなければいけないからです。

ブドウ糖が大事!と言いますが、そんなに良いことばかりならなぜちょっとばかり高血糖になったからって体が慌てて下げる必要があるの?って思いますよね。

 



 

健康な方が糖質の多いものを食べても速やかに血糖値が元に戻りますが(戻せなくなったのが糖尿病です…)健康な方が糖質制限してケトン体がかなり増えても別に体はそれを下げようとしません。

人類の長い歴史において「毎日いつでも食べたいだけ食料がある」という状況のほうがかなり珍しかったはず。何も食べられない日もかなりあったと思われます。

そんなときにケトン体が増えてエネルギーを確保しようとすることはごく当たり前のことだったはず。そうでなかったらとっくに人類は滅びていた事でしょう。

それにケトン体が増えても血糖値が正常なら脳にも全く影響ないですしね…ちなみに糖尿性ケトアシドーシスではケトン体が増えるだけではなく異常な高血糖(私は空腹時で475)になっております。

 

それでもやっぱりケトン体が増えるのは危険??

アメリカ糖尿病学会は2007年までは「糖質制限食は推奨しない」としていましたが、その後「ダイエットの必要がある肥満患者は1年間ならOK」「2年間ならOK」と徐々に条件を緩めながら認めてきました。

そしてとうとう2019年のコンセンサスレポートで「糖質制限がいちばんエビデンス(科学的根拠)が豊富」2020年「糖尿病患者の全体的な炭水化物摂取量を減らすことは、血糖値を改善するために最も多くのエビデンスが示されている」と言うまでになったのです。

もしケトン体が危険であるなら「糖質制限するとしてもケトン体が増加するような制限は絶対にいけません。そのためには毎日最低でも〇〇グラムの糖質を摂取しなさい」などの注意書きがつくはずですよね?

また日本糖尿病学会の山田悟先生(北里大学北里研究所病院・糖尿病センター長)は当初「緩やかな糖質制限はいいけれどケトン体が増加するような厳しい糖質制限は危険ではないか?」と考えておられました。

 

 

しかし「2018年のアメリカ糖尿病学会・欧州糖尿病学会合同レポートにおいても、ケトン産生食を含めて糖質制限食は有害作用がないとされている」「糖尿病薬のSGLT2阻害剤に臓器保護効果があるのはケトン体が増えるからかもしれない」とケトン体に対する考え方が変わってこられたようですね。

そして「ケトン体代謝に関わる遺伝子異常を持つ患者以外は、糖質制限でケトン体が増えても心配はいらないのではないか」「これからアメリカ糖尿病学会のケトン体に対する学会全体の見方が変わっていく」だそうです。日本は諸事情(大人の事情?)があってまだ難しいようですが…

先天性ケトン体代謝異常症(ケトン体をうまく作れなかったり利用することができない生まれつきの病気)の方はかなり少数であると思われますが、家族に同様の症状(ちょっと糖質制限するだけで低血糖になるなど)がある方は1度病院で相談してみて下さい。

 

にゃご
にゃご

健康に問題がなければ、糖質制限してケトン体が増えただけでは悪いことは起こらないんだニャー。

よっしー
よっしー

病的なケトーシスと生理的なケトーシスは違うと言うことは、両方経験した私は強く実感しているわ!!