ケトン体は危険じゃないの?
最近、ケトン体には様々な健康へのプラスの効果があることが分かってきましたけど、いまだに「糖質制限するとケトン体が増えるので危険です!」とおっしゃる糖尿病専門医の方も見かけます。
少し前に日本糖尿病学会の新理事長になられた植木浩二郎先生はどちらかというとケトン体や糖質制限に関しては肯定的っぽいのですが、さてどうなるやら。
日本ではまだ正式には糖質制限を糖尿病の食事療法としては認めていませんが(糖質制限よりさらにストイックなケトン食は難治性てんかんの食事療法として認められています)アメリカ糖尿病学会は認めております。
↓↓↓こちらはアメリカの有名な医療ニュースサイトで、栄養士さんが書いた「糖尿病患者のための糖質制限ダイエット」という記事です。
糖質の摂取量を1日あたり130g以下に抑える方法も有れば、1日あたり30g未満に抑える方法もあると書かれています。
「その患者さんがどれだけ糖質を摂取するべきかは活動レベル、体重、健康目標、その他の要因によって異なるので医師や栄養士などの専門家と一緒にその適量を知りましょう」だそう。
糖質の摂取量を1日あたり30g未満に抑えれば、個人差はあるでしょうけどまず確実にケトン体は増えると思います。
仮に「ケトン体は危険だ!」ということであればこのような制限は誰も絶対にやってはいけません、と言うはずじゃないですか?
アッ本当だ、ケトン体が危険なものならアメリカ糖尿病学会は糖質制限を否定するはずだニャー!
ゆるーい糖質制限は認めるかもしれないけど、ガチの制限を禁止にするはずよね!でも実際はそうではないわ。
必要なエネルギーは糖新生やケトン体産生からも補える
2019年にアメリカ糖尿病学会が出したコンセンサス・レポートには「糖尿病または糖尿病予備軍のすべての人にとって、糖質、タンパク質、および脂肪からのカロリーの理想的な割合はない」とあります。
日本糖尿病学会の評議員の先生も以前、医師だけの集まりで「糖質50~60%が良いと言う数字に科学的根拠はない。糖質制限食をしてもらっても構わない。日本糖尿病学会は糖質制限食を否定するものではない」と発言なさったそうですね。やっぱり!
そして「人々に必要な1日あたりの糖質量ははっきり分かっていないが約130gと考えられる。糖質の経口摂取だけではなくグリコーゲン(体内にためてある糖)の分解や糖新生、そして(ストイックな)糖質制限によるケトン体産生によってエネルギーを補うことができる」と書かれています。
つまり「人間には1日あたり約130gのブドウ糖が必要と考えられるが、130gを食事から摂取する必要はない、ケトン体もエネルギーとして使えるし」ということですよね!
特に糖尿病患者は健常者よりも「糖新生」が活発になっており、必要以上に空腹時血糖値が上がりがちです…何も食べなくても!
数時間おきに糖質を摂取しないと低血糖を起こしやすい体質の方を除き、多くの方は「脳が必要としている分の糖質」を頑張ってすべて経口摂取しなくてもいいんじゃないでしょうか。
「いや、これはアメリカ人の話だから…」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんけど、私には日本人だけが糖質を大量に摂取しないといけない体質だとは思えません。
少なくともよく引き合いに出されるネズミやウサギよりは、日本人はアメリカ人の体質により近いと存じます。当たり前ですけどね!
糖質制限、ケトン体を知り尽くした専門家が日本にはほとんどいない
冒頭で紹介した記事には「持病がある場合や自己流で実行すると危険なこともあるので医師や栄養士などの専門家に相談して始めましょう」とあります。
しかし残念なことに、日本にはまだ「糖質制限やケトン体のことを正しく知っている専門家」がほとんどいないのですよ…ごく一部の方だけなので、患者が気軽に相談できるような先生はごく少数です。
何せ糖尿病専門医の中にも「糖質制限すると低血糖になって脳にダメージを受けます!」「糖質制限するとケトン体が増えてケトアシドーシスになるので危険です」とおっしゃる方がいるぐらいですから(SNSで見かけました)。
「それはどういう機序でしょうか?」と質問してみたのですが、残念ながら答えていただけませんでした。ご存じであればすぐに教えてくださると思ったんですけどね。そういうことでしょう。
↑風邪で糖質ばかり食べていてケトアシドーシスで入院したことがあります。
ただ、体内で血糖値を下げるホルモン「インスリン」がきちんと作用していないとケトアシドーシスを起こしやすいので、特に1型糖尿病の方などは医師とよく相談して慎重に行うべきですよね。
糖質制限するからと言って一気にインスリン注射量を減らしたためにケトアシドーシスになった方もいらっしゃったそうです。注射量と食事の調整は専門家に見てもらわないと難しいかも。
アメリカで言われているように「きちんと専門家に相談して」から安全に始めたいものですね。まずその専門家たちを養成してもらわないとどうしようもありませんが…
日本が早くアメリカに追いつけるといいニャー!
追いつけるかどうかは、上の方の決断次第かもね!