糖尿病性ケトアシドーシスはとても苦しいです!
体内で何らかの原因によりインスリンの作用が極端に低下すると、体は血糖をエネルギーとして利用できなくなります。
1型糖尿病の方がインスリン注射をうっかり忘れたり、2型糖尿病の方が清涼飲料水を大量に飲み続けたりしたときに起こりやすいです。
後者では清涼飲料水のがぶ飲み→高血糖→またのどが渇いてがぶ飲み→高血糖の繰り返しでインスリンの効きが極端に低下して起こります。
よっしーはかつて自分が2型糖尿病を発症していることに気づかず何年間も放置していて、ある日重い風邪を引きました。
そしてみかんやうどん、乳酸菌飲料など口当たりの良い糖質ばかりを口にしていてとうとうケトアシドーシスを発症して緊急入院しました。
この時は空腹時血糖値が475にもなり、呼吸が苦しく嘔吐や腹痛があり、急激な体重減少と何とも言えない倦怠感がありました💦
ところが血糖値がそれほど高くないにも関わらずケトアシドーシスになる「正常血糖ケトアシドーシス」がしばしば起こるそうです。
正常血糖ケトアシドーシスとはいったいなぜ起こり、糖質制限とはどう関係があるのでしょうか…
血糖値が正常値なのにケトアシドーシスになるってこと?
「正常値に近い」ということだから少し高め程度なのかもね。
SGLT2阻害剤という糖尿病の薬を知っていますか?
ここで「SGLT2阻害剤」という糖尿病の薬について話をしておきたいと思います。商品名はスーグラ、フォシーガ、カナグル、ジャディアンスなど。
これはざっくり言うと「余分な糖を尿の中に捨ててしまうことで血糖値を下げる薬」です。
実はよっしーも以前スーグラを飲んでいたことがあります。インスリン注射とDPP-4阻害剤をやめた後、血糖値が高めで悩んだ時期です。
主治医は「この程度なら別に何も飲まなくていいよ、他の人はもっと高い」なんておっしゃいましたけど💦
当時、糖質制限の先生方がイチオシなさっていたのでスーグラを出してもらったところ、最初は確かに血糖値が下がりました。
でも飲んでいるうちに、だんだん最初ほど効かなくなった気がして、副作用も気になったので主治医に相談して量を少しずつ減らしてやめてしまいました。
それはさておき、このSGLT2阻害剤を使用している患者さんにときどき「正常血糖ケトアシドーシス」が起こるそうです。
SGLT2阻害剤を使用しているとケトン体が増えやすいのと、ブドウ糖を尿に捨ててしまって血糖値が上がりにくいため分かりにくいようですね。
しかし、ケトン体が増加するためにケトアシドーシスが起こるのなら、糖質制限をしている大部分の方がケトアシドーシスになるのではありませんか??
主治医から「そんなに極端な糖質制限をして正常血糖ケトアシドーシスにならんの?」と言われたことがありますが「そんなことになったらとっくに入院してますよwww」と返しました💦
SGLT2阻害剤で正常血糖ケトアシドーシスが起こる理由は?
SGLT2阻害剤で正常血糖ケトアシドーシスになる機序はまだ十分には解明されていないそうです。
今のところ①血糖降下作用のためにインスリンの必要量が減ってインスリン分泌が減少し、逆にグルカゴン分泌が増加する、②利用できるブドウ糖が減少し、代わりにケトン体産生が増加する、③腎でのケトン体再吸収が亢進する、ではないかと考えられるそうです。
①に関してですが、SGLT2阻害剤の服用で血糖値は下がりますが、血液中のグルカゴン(血糖値を上げるホルモン)は増加するそうです。
尿中に排出されたブドウ糖を補うため、代償的にグルカゴン分泌を促進させて肝臓でたくさんブドウ糖を作ろうとしているのではないか、または薬が直接すい臓の細胞に作用してグルカゴンを分泌させるのではないかという仮説もあるようです。
糖質制限をしている人たちでは②が起こっていますから、これだけが原因で正常血糖ケトアシドーシスが起こることは普通はないのではないでしょうか。
しかしインスリン注射をしている糖尿病患者では、やはり気を付けなければいけないようです。
インスリン注射をしている方が気を付けることは?
インスリン注射をしている方がSGLT2阻害剤を服用すると、それまでよりインスリン使用量を減らせる場合があります。
2018年12月以降、1型糖尿病の方にもSGLT2阻害剤が保険適用で使用できることになりました…が、それに伴って正常血糖ケトアシドーシスも起きています。
ケトアシドーシスは糖質制限するから起こるのではなく、インスリンの作用が極度に不足した状態で起こります。
「SGLT2阻害剤を飲むから」または「糖質制限するから」と言ってインスリン注射をうっかり減らし過ぎると、インスリン作用不足でケトアシドーシスが起こりやすくなるのでしょう。
よっしーのようにすでにある程度インスリン分泌能力が低下した糖尿病患者でさえケトン体がかなり増加してもケトアシドーシスにはならないのですが、インスリン注射をしている方は必ず主治医に相談してください。
逆にインスリンを打ちながらこの薬を服用すると、効きすぎて低血糖が起こることもあるそうです。細心の注意が必要です。
体内でケトン体が増えるのは同じだとしても、糖質制限とSGLT2阻害剤はやはり同じものではありません。
正常血糖ケトアシドーシスなど良くないことが起こる可能性があるのであれば、なぜそうなるのかを考えて慎重にならないといけませんよね。
主治医にきちんと相談して慎重にね!
嘔吐、腹痛、呼吸が苦しいなどの症状があれば早く病院へ!