難病指定されている「多発性嚢胞腎」ってどんな病気?
いつもブログ記事を読んで勉強させていただいている、ドクターシミズこと清水泰行先生のブログで興味深い記事を見つけました。
マウスの実験ではありますが、「多発性嚢胞腎」という遺伝する病気をケトン体が改善する可能性があるというのです。
多発性嚢胞腎は難病指定されている病気で、特定の遺伝子の異常により発症します。腎臓に嚢胞(液体が入った小さな袋)が無数にできます。多くの方では成人してから症状が出るそうです。
病気の進行を防ぐ薬は一部の方にしか効果がなく、だんだん腎臓の機能が低下して60歳ごろまでに約半数の方が腎不全になってしまうとか💦
しかも多発性嚢胞腎の方は腎臓だけに問題があるのではなく、肝臓にも嚢胞ができたり高血圧、脳出血のリスクも高いのだそうです。
確実に効果がある治療法がまだ存在しないうえ「遺伝の病気だから仕方がない」と思いがちですよね。
もし「ケトン体」がこの多発性嚢胞腎の方を救う可能性があるのだとしたら素晴らしいことだと思い、紹介させていただくことにしました。
ドクターシミズ先生のブログは専門的な用語も多いですが、非常に勉強になるので興味のある方はぜひお読みください。
マウスの実験段階とはいえ、病気の方は何十年も待っていられないから清水先生のこの記事はありがたいと思うニャア。
そうでしょう?清水先生、どうもありがとうございます!
糖質制限は腎臓に悪いの?
体内でケトン体を自然に増やすためにはなんといっても糖質制限が効果的なわけですが「糖質制限は高タンパク食なので腎臓に悪そう」と思われがちではないでしょうか。
多発性嚢胞腎も腎臓の病気なので「糖質制限をやってはいけないのではないか」と思っている方はきっと少なくないはずですよね。
糖質制限は腎機能を悪化させるというエビデンスは存在しないようです。それどころかむしろ改善も期待できるそうで…
ただし、すでに腎機能がある程度以上悪化してしまっている方の場合、高タンパク食がやや腎機能低下のスピードを速めるかもしれないというデータはあります。
多発性嚢胞腎は進行性の病気で、たとえタンパク質摂取制限をしても残念ながら人工透析が必要になる方がたくさんいらっしゃいます。
それなら、上のリンク先の塚本雅俊先生(糖質制限に詳しい腎臓内科医)のような医師の指導のもとで糖質制限を試みても良いのでは?
腎機能がかなり低下している患者さんの場合、糖質制限を行うにしても食事内容には特別の配慮が必要になるそうです。だからこそプロの手助けが必要なのではないかと思います。
ケトン体の腎臓への効果に期待しています
実験では、マウスの血中ケトン体が腎臓の嚢胞の成長を妨げることが明らかになったそうです。同じことがヒトにも当てはまるのだとすれば非常にありがたいことなので、病気で困っている方たちは試す価値があるのでは?
糖尿病の3大合併症のひとつ「糖尿病腎症」は毛細血管の塊である糸球体の細かな血管が壊れ、網の目が破れたり詰まったりして起こると考えられます。
その原因は、血糖値が高い状態が続くことや高インスリン状態(体内に大量のインスリンが存在する状態)などによって動脈硬化が起きることであると思われます。
つまり、糖質の過剰摂取が非常に腎臓に良くないわけです。糖尿病を発症していながら何年も気付かずに放置していたよっしーも糖尿病発覚時に糖尿病腎症と言われましたが、5年近く経過した現在も元気です。
いま糖尿病患者に多く処方されている「SGLT2阻害薬」は尿に余分な糖を出してしまうのですが、この薬に腎臓を保護する効果があるのはケトン体の効果ではないかという仮説もありますよね。
多発性嚢胞腎=腎臓の病気=糖質制限は良くない!と思い込んでしまうのは非常にもったいないことです。糖質制限に理解のある医師の指導のもとでなら腎臓を守りながらの糖質制限が可能かもしれません。
いったん人工透析を始めると日常生活には多大な負担を強いられます。できればそうなる前にできることをやりたいものですね。多発性嚢胞腎も糖尿病腎症も克服できる病気になりますように…
ケトン体がヒトやネコの腎臓も守ってくれることを期待したいニャー。
あなたの周囲にこの病気の家系で悩んでいる方がいらっしゃったらぜひ教えてあげてね。